コラム

【寄稿】コロナ後(アフターコロナ)の結婚式の変化

ブライダルプロデュース スウィートブライドの代表 中道亮 様に寄稿いただきました。


地域に根ざす文化としてのウェディング。そして変わらぬ祝福の心。

私は姫路でフリーウェディングプランナーの仕事を始めて25年になります。これまで約1000組の新郎新婦様と向き合いながら、この街で結婚式をつくり続けてきました。

振り返ると、この数年間ほど「結婚式の意味」を考えた時期はありません。コロナ禍は、私たちの価値観と生活を大きく変え、その中でウェディングもまた、大きく姿を変えていきました。

しかしその変化は、むしろ祝福のかたちがより本質に近づいたのだと、私は感じています。

少人数の結婚式だからこそ見えてきた本当のつながり。

コロナ禍が明けた現在の結婚式には、明確な変化の兆候があります。最も顕著なのは「規模」と「距離」の変化です。

かつて披露宴は、親族・友人・職場関係など幅広く招く大規模型が一般的でした。しかしコロナの影響で、「本当に大切な人」を慎重に選び、人数を絞り込むという意識が一気に広がってきたのです。

結果として生まれたのが、少人数婚・家族婚というスタイルの確立です。これは単に人数を減らしただけではありません。祝う相手との関係がより近く、深く、密度のあるものへと変化してきました。

例えばこんな感じです。

  • 久しぶりに会えた親族とゆっくり食事をしながら会話をする新婦様
  • ゲスト一人一人に真剣に感謝を伝える新郎様
  • 小さな子どもを抱いた友人が無理なく参加できる安心の時間

以前であれば、時間や進行、演出の都合で難しかった「深く向き合う時間」が、小さな結婚式では自然に生まれます。これはコロナ禍を経たからこそ、大切にされるようになった価値のひとつではないかと思うのです。

コロナは皮肉にも人のつながりの価値を再認識するきっかけとなりました。

オンラインの導入がつないだ地域を越える祝福の輪

もう一つの大きな変化はテクノロジーの活用です。オンライン中継はコロナ禍の応急処置として急速に広まりましたが、制限がなくなった今もその文化は定着しつつあります。

  • 海外在住で帰国が難しい兄弟
  • 遠方で体調が安定しない祖父母
  • 育児や仕事で移動が難しい友人

そうした「来られないけれど祝いたい人」が、遠い場所からも式に参加できるようになったのです。テクノロジーは、人と人の距離を縮め、地域を越えた「祝福の輪」を作り出す道具として、結婚式の新しい文化を形づくっています。

姫路で式を挙げるけれど、札幌の友人や福岡の親族と心でつながる。地域間の距離を飛び越える文化は、これからも結婚式を支える大きな力になるでしょう。

人と人の「対話」を中心にした式へ

コロナ禍で私たちが強く感じたこと、それは、「会えることの尊さ」です。

その影響もあってか、結婚式の内容は派手な演出よりも対話の時間を重視する傾向に変わりました。

私が強く感じるのは、結婚式がもはや「大勢に見てもらう舞台」ではなく、「人生の節目を親しい人たちと分かち合う儀式」へと戻ってきたということです。

華やかさよりも心の通い合い。そして、形式よりもふたりらしさや家族らしさ。コロナ禍は、結婚式をシンプルにしながらも、その本質をより鮮明に浮かび上がらせたのではないでしょうか。

私は、これこそが地域を強くする根っこのように思います。家族の対話、友人の対話、職場の対話。それらはすべて、地域の人間関係の土台となり、街の温度をつくっていく要素だからです。

結婚式は「地域の文化」であり、「未来につなぐ営み」

姫路という街で結婚式をつくるということは、ただイベントを提供することではありません。

地域に根ざす文化を守り、未来に手渡す行為でもあります。

たとえば、

  • 姫路ゆかりの神社での挙式を選ぶ
  • 姫路の職人が作る引出物を取り入れる

こうした小さな選択が、地域経済を回し文化を支えています。

私はこの街でウェディングを続ける中で、結婚式は地域経済を静かに循環させるものだと確信するようになりました。

コロナが投げかけた社会課題と私たちの役割

コロナ禍で浮き彫りになったのは、「人と集まる」ことが当たり前ではないという事実でした。

孤独、分断、コミュニティの希薄化。これらの社会課題が全国で話題になりましたが、結婚式の現場にも影響は大きくありました。

ある新婦様は言いました。
「家族が一つのテーブルにそろうのは、何年ぶりだろう。」別の新郎様は「みんなに会える日がこんなに貴重だなんて、あの頃までは気づけませんでした。」と。

結婚式は、こうした社会課題に対して大切な役割を果たしていると感じます。人をつなぎ、コミュニティを再生する力があるということです。

ロータリークラブが掲げる「地域奉仕」とも深い部分でつながっています。結婚式は、地域にとって人の繋がりを育てる装置だと言えると思います。

変わったのは形だけ。「祝福の心」は変わらない。

最後に、ウェディングプランナーとしての私自身の想いを言うなら、結婚式は形を変えながら続いていく文化だということです。

時代が変われば、求められるスタイルも意味も変わります。しかし、結婚式の中心にある「祝福の心」だけはどれほどの変化があっても揺らぎません。

むしろ、困難を乗り越えた今だからこそ、その想いはさらに深く、温かくなったように感じます。

ウェディングプランナーとして、そしてこの街で仕事をする一人の人間として、私はこれからも地域のつながりを育む結婚式をつくり続けたいと思っています。

結婚式という文化が、人と人をつなぎ、地域を明るくし、未来へ続く希望になることを願って。


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