【要約】
第1496回オンライン例会では、ロータリー創立記念日にちなみ「ロータリーの樹」を題材に奉仕活動の全体像が語られました。また、岡山きずの訪問診療所の安積昌吾院長をゲストスピーカーに迎え、日本の医療政策における病床調整の実態と、在宅医療の拡大における形成外科医の新たな役割についてスピーチが行われました。
【詳細報告】
■会長の時間
会長は、2月23日の「ロータリー創立記念日・世界理解と平和の日」にちなみ、「ロータリーの樹」をもとにロータリーの奉仕活動の全体像を解説しました。この「ロータリーの樹2008」は、渡辺好政RI理事が米サンディエゴの国際協議会で発表したもので、根がクラブ奉仕、幹が職業奉仕、枝と葉が社会奉仕・国際奉仕、花がロータリー財団を表しています。今期RI会長のメッセージ「よいことのために手を取りあおう」にも触れ、グローバル補助金や地区補助金を活用した未来の夢計画の推進について述べました。
さらに、ロータリー創立者ポール・ハリスの時代背景として、1920年代のシカゴにおけるマフィアの影響とロータリアンたちの取り組みを紹介しました。当時のシカゴRCはレストラン協会の道徳律を定め、犯罪調査委員会を組織するなど、職業奉仕と社会奉仕の両面から市民社会の改善に尽力した歴史が語られました。
■安積昌吾氏のスピーチ「国は医療をどう変えようとしているのか ― 病床調整と在宅医療の現実」
岡山きずの訪問診療所院長の安積昌吾氏(喜田会員ご紹介)によるスピーチでは、日本の人口減少と高齢化を背景とした医療提供体制の再設計について語られました。
国は団塊の世代が後期高齢者となる2025年前後を医療需要のピークと捉え、地域医療構想を通じて病床数の調整を進めています。しかし、個別の病院に病床削減を直接命じることは制度上難しく、診療報酬の評価構造や補助金といった手法によって病床数をコントロールしようとしている実態が説明されました。その結果として、病院の空床や経営難が生じていますが、これは単なる経営の問題ではなく、国の医療政策の帰結であるとの見解が示されました。
一方、入院医療の一部が在宅医療へ移行する中、安積氏は形成外科医として訪問診療事業を立ち上げました。在宅患者の中には褥瘡(床ずれ)や創傷管理、糖尿病性足病変など、形成外科の専門性を必要とするケースが一定数存在します。しかし、専門医の訪問診療という選択肢の認知度が低いこと、主治医やケアマネージャーとの連携体制が未確立であること、併診が月1回の制度的制約があることなど、現場での課題も率直に共有されました。
スピーチのまとめとして、病院経営の困難は長年の政策の帰結であること、在宅医療は「箱物の限界」に対する解として広がりつつあること、そして在宅における専門医療の空白を埋める挑戦はまだ始まったばかりであることが提示されました。
